《第11話》 【窓際教師戦】《第11話》 【窓際教師戦】授業のクラブはアーチェリーを選択した。 それは、弓道部の顧問の教師が担当していたけど、5射うったら帰ってもいいことになっていた。 自分の番を待っている時間のほうが長かった。いつもうろうろしながら待っていた。 まだ下校時間でもないのに、ひとりの教師が裏門から帰るのが見えた。しかも毎週だ。 それは国語の教師で、俺も授業をうけたことがある。いつもやるきがなさそうに椅子に座ってゲロゲロ言っていた。 俺は、手を広げて通せんぼをした。 窓際教師は「どいてくれないか?」と 帰るつもりだ。 「先生、退勤時間になってないでしょう。」 「いいんだ。帰してくれ」 暗い表情をして窓際教師は帰っていった。 俺は、弓道部顧問に教師にも退勤時間は決まってるだろうから、おかしいだろうと持ち掛けた。 弓道部顧問の教師は「そうなんだけど。しょうがないんだよ」と言う。 「しょうがないではすまないぞ」 俺は提案した。 「職員会議って生徒の問題だけじゃなくて、先生の問題も議論できるんだろう。先生、職員会議で話して」 「う~ん。むずかしいなぁ」 「じゃ、俺が職員会議出ようか?」 「それは、まずいだろう」 「なんで?俺じゃたよりないか」 「そうじゃなくて、職員会議は教職員が出るものだから、生徒がでてはまずいだろう」 「じゃ、やっぱり先生が指摘して」 「う~ん。やってみるか。でも、それで改善するとも限らないぞ」 「うん。やるだけやってみよう」 その後「どうだった?」と聞くと 「う~ん。やるだけはやったぞ。だからかな、今日は帰らないだろう、あの人」 「うん、そうだね」 次の週だったか。窓際教師が裏門に歩いてきた。まだ俺が下校できない時間だ。 裏門で腕を組んで待ち構えていると、笑顔で近づいてきた。 「おお、君か」 「先生、まだ早く帰るんだね」 「いや、今日は特別に用事があってかえるんだ。普段は最後までいるよ」 「あ、そう?じゃあ、さようなら。よかったね」 「君のおかげだよ」とニコニコして言う。 「それも、よかったね」 それから以後、窓際教師は早退をすることがなかった。
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